ユリイカ 2023年7月号 特集=奇書の世界

1,980円(税込)

DETAIL

四大奇書、三大奇書、さて、奇(しなる)書とはなにか

奇しく珍かなる書物、
なぜその必ずしも読むに易くはない書物に
われわれは惹かれるのか、
それら奇書が奇書である所以はさまざまであるだろう、
歴史において珍奇な運命をたどったものもあれば、
豪奢な装幀の人間業とも思えぬ
唯一性によるものもあるだろう、
そしてなにより魔術書ならず魔術的な記述内容が
その書物を奇書たらしめる、のか……、
往きては帰れぬ奇書の道。

目次*
❖対談
奇書は(人間にしか)書けない / 円城塔×酉島伝法

❖奇譚
綺書周游 一名、駄本地獄――〈人外魔境の巻〉 / 稲生平太郎
奇書もどき / 春日武彦

❖驚異の好奇心
Curiouser and Curiouser――奇書のマニエリスム / 高山宏
架空珍妙動物学を学ぶための奇書コレクション / 倉谷滋
形而上学の逸楽郷――哲学史における奇書 / 佐々木雄大
変なこと書く人――奇妙と驚異のSF小説史 / 橋本輝幸

❖奇人(から)の呼び声
わかるものわからないもの / 樺山三英
イルでファンキーな宇宙世紀を讃える / 南木義隆

❖稀な成り行き
三大奇書の外側から / 小松史生子
ミステリにおける奇書の再考――内在する〈狂い〉について / 鈴木優作
奇書としての『死霊』――埴谷雄高と澁澤龍彥のデモノロギイ / 藤井貴志
大西巨人『神聖喜劇』――論理のネットワークを駆けめぐる数奇な旅 / 橋本あゆみ

❖座談会
特殊版元探訪――事例・国書刊行会のエコシステム / 竹中朗×山本貴光×吉川浩満

❖運動としての奇書
「奇書」だけが癒す渇き――戦前昭和における“変態趣味の大家” / 大尾侑子
囚われの奇書――あるポーランド知識人の自己検閲と文学的欠乏 / 中井杏奈
怪文書のススメ / 逆卷しとね
「奇書」としての『家畜人ヤプー』 / 河原梓水

❖レファレンスとサジェスト 奇書の定義と入手法――列挙書誌から考える / 小林昌樹
「奇書」に寄りつく解釈と解説 / 三崎律日
❖書物の奇異と奇跡
奇なる書の道 / 宮紀子
奇術としての製本――『四回の講座』(M.F.作) / 野村悠里
書物としての奇書/オブジェとしての書物 / 山中剛史
本とは何か――奇書、あるいは瀧口修造の〈本〉 / 山腰亮介

❖奇書に誘われて
中華圏の奇書をめぐる / 立原透耶
幻臭と幻獣 / 川野芽生

❖奇書と奇書でないもの
神器と魔法の古代書 / 川村悠人
聖女の奇書――ハッケボルンのメヒティルト『特別な恩寵の書』と西洋中世の神学 / 三浦麻美
世紀転換期ドイツの一知識人が見た地獄あるいはユートピア――シュレーバーの『ある神経病者の回想録』をめぐって / 熊谷哲哉
『フィネガンズ・ウェイク』のABCD / 今関裕太 バベルの図書館における奇書――ボルヘス以降のミクロコスモス / 棚瀬あずさ

❖伝導の道行き
MU BOOK GUID 出張版――今、日本語で読める「奇書」11選 / 星野太朗


❖忘れられぬ人々*21
故旧哀傷・樋口覚 / 中村稔

❖物語を食べる*29
母と子どもがひとつになる / 赤坂憲雄

❖詩
熱帯夜 / 宿久理花子

❖今月の作品
西野いぶき・渡辺八畳・吉田譜雨・西村洸・折江朋華・栫伸太郎 / 選=大崎清夏

❖われ発見せり
未来の団結小屋 / 片桐悠自



ムック:260ページ
出版社:青土社
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